思えば変なシチュエーションです。
何故あの状況で彼女は僕を好きになったのでしょうか?
『……あの、王子くん』
『………は?』
『あたし…前園愛といいます。
キミに…王子くんに…一目惚れしました!
付き合ってください!!』
右手を差し出して、九十度に頭を下げる彼女。
僕は柵の向こう側から訝しげに彼女を見ていました。
『……馬鹿ですか、貴女は』
『アハハッ!よく言われる』
『…………』
笑う彼女に何も言えない僕。
当たり前でしょう。
頭がついていかないのですから。
『でも好きになっちゃったんです。
あたしと付き合ってください?』
『お断りします』
僕はすぐさまお断りしました。
当たり前の行動だと思います。
僕は彼女を知らないのですから…。