「……あり得ねぇ」
はあぁ、と盛大な溜息をつきます。
あの子と出会ってから溜息が多くなった気がします。
『ブーブー』
「……ん?」
ポケットにいれっぱなしだったらしい携帯電話が鳴りました。
僕は取り出して寝転がりながら操作します。
<今日は楽しかったよ!
何だか
ほーかごデートみたいだったね!
また明日学校で
きりゅうくんに会えるのを
楽しみにしているからね!
あいらぶゆー、
きりゅうくん(はあと)
アイ>
…メールさえも馬鹿らしく見えます。
どうして放課後を漢字に変換せず平仮名に?
僕の名前も平仮名ですし。
I Love youも平仮名…。
彼女はどうやら本当に馬鹿みたいです。
最下位スレスレの成績もまぐれじゃなかったんですね。
<……馬鹿、ですか>
それだけ送信して電源を切ります。
1度真面目に付き合ってあげたら、
深夜の3時頃まで続きましたから。
「……飽きねぇ奴だな、アイツも」
ふ、と笑みが漏れたのはきっと気のせいです。