「あ…りがとう…ございますっ」

泣くのをこらえ震えた声でお礼を言うその子は真っ黒の髪に白い肌。
くりくりの目に薄ピンクの唇。
なんだかふわふわした子だった
こりゃぁ声かけられてもおかしくないな…

「いえいえ
大丈夫?なにもされてない?」

「へー,きですっ」

すぐに俯いたかと思うと,とうとう泣き出してしまった。
俺は思わず抱きしめて背中をさすっていた

「こ…こわかったぁっ」

「怖かったね,もう大丈夫だから」

安心したのか声を出しながら泣くその子をずっと抱きしめていた。
しばらくすると泣きやみ,ばっと俺から離れた。

「ごめんなさいっわたしっ
知らない人にこんなっ」

急に焦り出した姿に思わず笑ってしまった。
笑い出した俺を見てぽかんとしたその子に自己紹介をした。