呼吸の仕方を忘れるのは久しぶりのことだった。

見慣れた丁寧な文字で、自分の宛名が、名前が、書かれていた。

彼女そのものを連想させる、上品な薄紫色の封筒。

端の方にさりげなく、彼女の名前も添えられている。



大好きな人の名前。

かけがえのない文字の羅列。



震える手で封を切る。



心のどっかで分かってる。

これは、最初で最後の手紙なんだと。