そんなあたしを見て、おばあちゃんはにっこり笑った。

「おばあちゃんもねぇ、今でこそこんなしわくちゃなおばあちゃんやけど、やっぱり若い頃があってね?みくちゃんくらいの頃から、今でもずーっと、恋、しとるんよ」

おばあちゃんの瞳が悪戯に光る。

「本当!?おばあちゃんも?」

おばあちゃんは大きく頷いた。

「今はねぇ……どっちかっていうと、あの空にね、恋しとるんやないかと思うんやけどねぇ」

「空に?どうして?」

「あそこにな、好きな人がおるっておばあちゃんは思うんやね」

真っ青に染まる空を見て、にっこり笑うおばあちゃん。

「年寄りのつまらん昔話でも聞くかい?」

あたしが頷いたのを確認してから、おばあちゃんは優しい笑顔のままゆっくりと口を開いた。