無事に戸籍を得たところで、眠り姫は『カント生まれの災害孤児リディル=カーヴァンス』として、アストラ村にあるグリフィノー家へとやってきた。
「さあ、ここが貴女の……いや、お前の家だぞ」
なるべく普通の親として接したいと、アリアは口調を気をつけながらリディルを案内する。
相変わらず他人には怯えた様子のリディルは、フェイレイの背にぺたりとくっついて、恐る恐る家のドアをくぐる。不安げに辺りを見回していると、フェイレイが振り返った。
「リディルのお部屋は二階だよ。俺の隣の部屋。見に行ってみる?」
フェイレイの問いかけに、リディルは小さく頷く。
「階段はこっちだよー」
リディルに張り付かれて歩きづらそうにしながらも、フェイレイはリディルに合わせ、ゆっくりと階段を上っていく。ランスとアリアは少し離れてついていった。
「ここだよー」
階段を中心に右側に2つ、左側に2つずつドアがあるのだが、フェイレイが開けたのは右側の奥の部屋だった。
農業を営んでいたランスの両親の遺した家は、こじんまりとした小さな家で、リディルのために用意された部屋も狭いものだった。
店で買ってきたベッドと机が置かれただけで埋まってしまうほどの狭い部屋だが、ベッドにはランスが縫った赤いキルトカバーがかけられ、動物の愛らしいぬいぐるみが並んでいた。
窓際には花の鉢植えが並べられ、机には学校にも行けるように、教科書やノートが用意されていた。クローゼットの中には夫婦が選んだたくさんの洋服が詰まっている。
慎ましやかだが、それでも家族の愛情がこもった部屋だ。
喜んでもらえるだろうかと、ランスとアリアはそっと様子を伺う。
フェイレイが部屋の中にあるものをひとつひとつ紹介しているが、リディルの表情は動かない。ただじっと、フェイレイの声に耳を傾け、大人しく佇んでいる。……思ったような変化は見られなかった。
「さあ、ここが貴女の……いや、お前の家だぞ」
なるべく普通の親として接したいと、アリアは口調を気をつけながらリディルを案内する。
相変わらず他人には怯えた様子のリディルは、フェイレイの背にぺたりとくっついて、恐る恐る家のドアをくぐる。不安げに辺りを見回していると、フェイレイが振り返った。
「リディルのお部屋は二階だよ。俺の隣の部屋。見に行ってみる?」
フェイレイの問いかけに、リディルは小さく頷く。
「階段はこっちだよー」
リディルに張り付かれて歩きづらそうにしながらも、フェイレイはリディルに合わせ、ゆっくりと階段を上っていく。ランスとアリアは少し離れてついていった。
「ここだよー」
階段を中心に右側に2つ、左側に2つずつドアがあるのだが、フェイレイが開けたのは右側の奥の部屋だった。
農業を営んでいたランスの両親の遺した家は、こじんまりとした小さな家で、リディルのために用意された部屋も狭いものだった。
店で買ってきたベッドと机が置かれただけで埋まってしまうほどの狭い部屋だが、ベッドにはランスが縫った赤いキルトカバーがかけられ、動物の愛らしいぬいぐるみが並んでいた。
窓際には花の鉢植えが並べられ、机には学校にも行けるように、教科書やノートが用意されていた。クローゼットの中には夫婦が選んだたくさんの洋服が詰まっている。
慎ましやかだが、それでも家族の愛情がこもった部屋だ。
喜んでもらえるだろうかと、ランスとアリアはそっと様子を伺う。
フェイレイが部屋の中にあるものをひとつひとつ紹介しているが、リディルの表情は動かない。ただじっと、フェイレイの声に耳を傾け、大人しく佇んでいる。……思ったような変化は見られなかった。