ランスとの通信を終えたアリアは落ち着きを取り戻し、業務に戻った。
夜中になっても処理しなければならない雑務は山のようにある。
各地に派遣している傭兵たちからの報告を手早く処理していたアリアの元に、ブライアンが血相を変えて飛び込んできた。
「支部長!」
「なんだ、騒々しい」
書類に目を向けたままそう言うと、ブライアンは机を回りこんでアリアの横に立った。
何事かとアリアが顔を上げると、ブライアンの顔は蒼白になっていた。
「……どうした」
アリアは書類を机に置き、眉を顰めた。
「……惑星王から、通信です」
アリアは目を見開いた。
一介のギルド支部に、惑星王から直接通信が来ることなど有り得ないことだ。
信じられずに身を固くしていると、支部長室の中央にバチバチと火花が散った。青白い光がぼうっと浮かび上がり、そこに立体映像が映し出される。
煌びやかな玉座に足を組んで座る、紺色の髪の二十代半ばほどの青年だ。カイン=アルウェル=ユグドラシェル皇帝陛下。成婚式を祝う祭りの時に見た姿絵そのままの美貌が、そこにはあった。
青年は紫暗の瞳をアリアに向けた。それを見ただけで彼が“本物”であることが分かった。アリアは立ち上がる。
「惑星王、カイン皇帝陛下」
すぐに立体映像の前に跪き、頭を下げる。
『セルティアギルド支部長、アリア=グリフィノーか』
どっしりとした低音の声が、室内に響き渡った。
「陛下直々にお声を掛けられるとは、光栄にございます」
『くだらぬ挨拶は良い。私のリディアーナを返してもらおう』
「……な、何と?」
アリアは思わず顔を上げる。薄い笑みを浮かべるカインの紫暗色の瞳に剣呑な色があるのを見て、アリアは息を呑んだ。
これは。
このお方は。
リディルの“害”になる。
一瞬でそう判断した。
夜中になっても処理しなければならない雑務は山のようにある。
各地に派遣している傭兵たちからの報告を手早く処理していたアリアの元に、ブライアンが血相を変えて飛び込んできた。
「支部長!」
「なんだ、騒々しい」
書類に目を向けたままそう言うと、ブライアンは机を回りこんでアリアの横に立った。
何事かとアリアが顔を上げると、ブライアンの顔は蒼白になっていた。
「……どうした」
アリアは書類を机に置き、眉を顰めた。
「……惑星王から、通信です」
アリアは目を見開いた。
一介のギルド支部に、惑星王から直接通信が来ることなど有り得ないことだ。
信じられずに身を固くしていると、支部長室の中央にバチバチと火花が散った。青白い光がぼうっと浮かび上がり、そこに立体映像が映し出される。
煌びやかな玉座に足を組んで座る、紺色の髪の二十代半ばほどの青年だ。カイン=アルウェル=ユグドラシェル皇帝陛下。成婚式を祝う祭りの時に見た姿絵そのままの美貌が、そこにはあった。
青年は紫暗の瞳をアリアに向けた。それを見ただけで彼が“本物”であることが分かった。アリアは立ち上がる。
「惑星王、カイン皇帝陛下」
すぐに立体映像の前に跪き、頭を下げる。
『セルティアギルド支部長、アリア=グリフィノーか』
どっしりとした低音の声が、室内に響き渡った。
「陛下直々にお声を掛けられるとは、光栄にございます」
『くだらぬ挨拶は良い。私のリディアーナを返してもらおう』
「……な、何と?」
アリアは思わず顔を上げる。薄い笑みを浮かべるカインの紫暗色の瞳に剣呑な色があるのを見て、アリアは息を呑んだ。
これは。
このお方は。
リディルの“害”になる。
一瞬でそう判断した。