その儚い願いが、由羅の胸に突き刺さる。


「もっともっと修行して…、“里一番の忍者”って言われるくらいにまでなって…。いつかは、鞍馬一族の長になるつもりだったのに…」


涙を堪えながら…。

しかし、小さくすすり泣く声が聞こえる。


自らが盾となり、由羅を庇ったことには後悔はしていない。


だが、夢半ばで死ぬことへの未練が、颯にはあった。


弱音を吐き、涙を流す颯を見るのは、由羅も初めてのことだった。