そんな由羅を、颯が両腕で包み込む。


「お前もやっぱり…忍じゃなくて、1人の人間なんだよ…」

「なにを言っている…。私は忍だっ…」

「“好き”という感情を持っている…。悲しいときには涙も出る…。俺も由羅も、血の通った人間なんだよ…」


顔を上げると、颯も目に涙を浮かべていた。


「くそ…。俺…、まだ死にたくねぇよっ…」


俯きながら、ポツリと呟く颯。