放課後になって、やっと小説を読み終えることができた私は直ぐに南校舎裏へと走った。


小説を左手に、スクバを右肩に掛け、階段を勢い良く降りてローファーに履き替えた。


はぁ、はぁ、はぁ…




「先輩!」




ベンチの上で本で顔を隠して寝ていた先輩は、ゆっくり起き上がり私を見て微笑んだ。




『わかったみたいだね』


「はい…」




小説のラストでは、男の子が突然転校してしまい離れ離れになった。

お互いに“好き”というたった二文字を伝えずに…

連絡先を交換していなかった二人…

男の子は、好きだからこそ言えなくて

女の子は、明日がずっと続くと信じていた


そんなバッドエンドのお話だった。


一見、そう珍しい小説ではない。


けど、小説は終わっているようで

終わっていなかったんだ。