気づけば不良くんたちはそれぞれの話に戻っていって、私も自分の席に向かう。






荷物をしまっているとふと視線を感じて、




佐竹くんがこっちを見ていることに気付いた。






「あ、佐竹くんおはよ」





そういえば挨拶してない、と思って慌てて言ったけど、鮮やかにスルー…。






まあ、昨日の今日でいきなり仲良く…なんて無理だよね。







「おい、転校生。」





「は、はい…?」







もっとマシな呼び方ないのかな、とか思いつつ、私は返事をする。






「一日ですっかり有名人じゃねえか。ありがたいデビュー戦だったな」






デビュー戦って…全然ありがたくないし‼︎









「お人好しのリュウはともかく、他の奴らは納得いかねえみてーだけど。」





「べつに…」






小馬鹿にしたような言い方に少しムッとする。






それを知ってか知らずか、妙に楽しそうに佐竹くんは続けた。







「今日からますます人気者じゃねーか。どうなるんだか」





「人気者…?」







むしろ、逆だと思うけど…。





しかしそれ以上聞いても、佐竹くんは怪しげに笑うだけで、何も答えてはくれなかった。






『人気者』…私はこのあと、この言葉の意味を知ることとなった。