佐竹くんの言葉に、先輩がわずかに後ずさる。






「っ……わかったよ!!」






そして持っていた鉄パイプを乱暴に投げ捨て、鞄を拾って走り去った。





カランカラン、と甲高い音が響く。








「佐竹くん…助けてくれてありがと」








私の言葉に、佐竹くんが振り返る。








「別に、助けたわけじゃねぇよ。」





「けど、止めてくれてありがと」







私が言うと、気恥ずかしそうに佐竹くんはそっぽを向いた。






風に乗って、佐竹くんの明るい茶髪がさらりとなびく。







「…あのね、佐竹くん」





「……んだよ」






めんどくさいと言わんばかりに気だるげな返事が返ってきた。







「すぐには認めてもらえないってわかってる。ここは、私がいていい場所じゃないことも。



でもね、佐竹くんが止めてくれて本当に良かった。



助けたつもりじゃなくても…すごく、嬉しかったよ」