「こ、この女………」






私を睨み付けながらも、一歩一歩と後ずさる男。






その目を見据えて、私は近付いていく。






ぴん、と張りつめた空気が流れる。





どちらが動くか……どこから来るか。






「く…お前なんか俺一人で!!」





右ストレート…体を左に傾け、そのままの勢いでみぞおちに蹴りを入れた。





「ぐぁっ……て、めぇ……」






上手く急所に入ったから、これでもう…





ふっと力が抜けたように男は倒れ込んだ。






「これで、全部…?」





倒れた敵を見渡す。





うーん…ちょっと、やりすぎたか。






「……あれ?」






気絶している男達の顔を見回すうちに、ふと違和感に気づく。





「シンゴさん」とか呼ばれてた、リーダーっぽい人がいない…。





逃げたのかな……いつの間に?





その時…カラン、という金属音が背後で聞こえた気がした。







「まさか…しまっ…!!」






振り返った先に、どこで拾ってきたのかわからない鉄パイプを手にしたシンゴ…っていう人。






「ククク……やってくれたなぁ…この女」







不気味に笑って、勢いよく鉄パイプを振り上げる。





ヒュ、と風を切る音。





やばい……間に合わない!!