「制服同士で付き合いてぇな。」


その言葉は、ロックミュージシャンになるため大学の授業をすっぽかし、日々バンドと青春を過ごして、『やっぱプロは無理ですね。』とギターを置いたが、結局大学を7年かけて卒業し、春からK市役所で勤務している先輩が卒業式の日に会場前でタバコを吸っているときに自転車で二人乗りをしている高校生カップルを見てもらした純粋で無垢な一言だった。


「あこがれ」
それはありふれているのに触れることのできない近くて遠い夢の残り香のことである。