「まだ映画の翻訳家目指してるの?
『マルサイの女の金曜日』
君が金曜日に生まれたて言ってた意味が今日分かったよ。
いい映画だね。」



切符を買って戻ってきた君に僕は尋ねた。

君は突然の質問に虚を突かれたようだったが、口元に笑みを作り、少し照れながら



「うん。私ね、実は来年結婚するんだ。映画を作ってる人なの。もしかしたら彼が今作っている作品の翻訳を任してもらえるかもしれないんだ。」

と答えた。