スターバックスを出ると、夏の蒸し暑い大気が体にまとわりついてきた。



「日本の夏は、夜も暑い。」


去年の今頃、大学の同級だったウイグル人留学生がぽつりと漏らした言葉を思い出した。

確かに蒸し暑い。

でも僕は日本の夏しか知らない。

夏の夜でも涼しい世界のことを知らない。


君は電車で、僕は徒歩での帰宅だったので、君を改札まで送ってあげた。

二度と君に会えない気がしたが、僕はそれでいいと自分に言い聞かせた。



僕は、君を、送り出す。