女の子が遠ざかってから僕は恐るおそる君の顔を見た。

予想通りの怪訝な表情で、むしろ逆にホッとした。

さすがにこんなにも立て続けに予想外の出来事が起これば、些細な予測の的中でも心を安心させるのに十分だった。

なんせ僕は臆病なのだ。



「ねぇ、『次回作』って?」



「ねぇ、『次回作』って?」

その言葉を頭の中で一度反芻させてから、僕はふぅと息を吐いた。

まさに、今から全速力でベースを駆け抜けようと吐き出すあの息だ。