「ワタナベくん聞いてる?」

ふっと僕の意識はボブヘアーの女の子に戻った。

そうだ、僕はいま危機的状況下に置かれており、ベースランニグをしている坊主頭の後姿に思いを馳せている場合ではないのだ。


「悪いんだけどさ、いま打ち合わせ中なんだ。次回作のね。」


その言葉を聞いてボブヘアーの女の子は目を輝かせて喜んだ。



「次回作、作るんだね!」

「そう、だから悪いけど邪魔しないで。完成したらメールで知らせるからさ。」