僕ら三人が居合わせるこの状況に限って僕は『ワタナベ』であって『ワタナベ』でない。

いやはやなんとも、ややっこしい状況だ。




それにしてもなんだ、今日という日は。

まさかよりによってお前が出てくるとは。

彦星が再会するのは織姫だけじゃなかったのか。


筋違いな憤りに軽く自分をまかせていると、君は君の方で、

「ワタナベくん、紹介して。」

と、僕の予想とは裏腹に、とげがなく、むしろ淡い期待をこめた様子で言葉を投げかけてきた。