―最近の話だが、僕は小さな地球儀を買った。
よく行く雑貨屋の隅に置いてあったのを偶然見つけた。


直径15センチくらいの銀色の球体に銀色の棒がつき刺さり銀色の台座に腰を掛け鼠色の地図を鈍く映す、小さな世界。
国名は黒で地名が赤。
ちなみにmade in Italy、そこをかっこいいと思う僕はひどく滑稽だ。

この地球儀を見ていると地球が丸く見えてくる。

ようやく23年ほど生きてみたがそれでもまだ信じられない。
日本は極東に位置する、ひどい話だと思わないか。
くるくると回してみると、どこが東で西だかわけがわからない。北か南かくらいはわかるが、それもなんだか怪しい、いや、妖しい。

誰しもが中心だよ。なあ、ガガーリン?
あんたが見た地球は青いらしいが、僕のは銀色だよ。




「部屋に地球儀がある人って素敵だと思わない?
どうして買おうと思ったのかすごく聞きくたくなる。
普通は買わないよ、地球儀なんて。」

昔、いつだったか君が言ったそれを聞いて、笑った僕がいた。
今、思い出しても笑える僕がいる。