「光を浴びず匂いを忘れ波に揺られることなく存在することが可能か」

この一言のみの手紙を書き、80円切手を貼ったのにもかかわらず、僕の下宿先まで歩いてやって着て、自分でその手紙を僕の部屋のドアの隙間にはさみ、その後すぐに大阪を去っていった友人。アツシが今いてくれたら、僕に道を示してくれるんじゃないかと最近よく思う。しかしきっとアツシは、


「そんな道は未知でしかないよ」

などとまったく面白くもない洒落で笑い飛ばすだろう。


その通りだ、と言ってやりたい。
もう疲れたろいい加減帰って来いと言ってやりたい。
この心境が今の僕の唯一の真実であって、明日になればそれはまた真実でなくなるという真実もまた同時に真実として存在する。
ふとこれについて深く考えるとよくひどい頭痛を起こす。
やはり精神によくない。
僕の過去はこんなものばかりだ。