僕は一つ深呼吸をしてみた。

うまくできない。

何かが胸に引っ掛かっていて、十分に空気を吸い込めないし、十分に空気を吐き出すことができない。

空を見上げた。

都会の夜空は星が見えない。

薄いもやがかかっていて、大事なものを見えにくくしている。

君と付き合うことができた日の夜空は、世界中の空から雲を全部吹き飛ばして燦然と輝く星の大群が僕の頭上に広がっているように思えたし、

見るものすべてが大事なもののように思えた。