途中、少年は和菓子屋に寄った。


あたしが少年を初めて見かけた、あの和菓子屋だ。


和菓子屋から出てきた少年は、土産だと言ってあたしに老竹色の紙袋を押しつけた。



 少年はその和菓子屋の長男だったらしい。


制服を着て家を出てきたはいいが、結局サボってしまって、帰るに帰れず立ち尽くしていたんだって。


お腹を空かせていたわけではなかったようだ。



 とりとめもないことを話しながら歩く、駅までの帰り道で、あたしは妙に晴れやかな気分でこう思った。



 ロボットみたいになって進む道だって、道であることに変わりはない。

レタスだって彩りを添えるために必要。


みんな、必要なようで、そうじゃないような、微妙なところに立っていて。


なんだかんだ、そうやって世の中回ってるんだ。



 なんとなくでも、そういう〝答え〟を自分の中で出すことができたら、しばらくの間は大丈夫だ。


もし再び憂鬱に押しつぶされそうになったら、そのときは今日みたいに、またふらっと電車に乗って、適当な駅で降りてみよう。