時刻は二時半。
帰りも四時間はかかるはずだから、家に着くのは七時頃か。
仕事から帰ってくる父と母よりも早く家に着くかどうかは、五分五分といったところだろうか。
「あたし、そろそろ帰らないと。少年、駅まで案内してくれる?」
あいよ、と頷き、少年も立ち上がった。
最後に一枚、河の写真を撮っておこうかとも思ったけど、やめた。理由はとくにない。
服についた草をパシパシ叩き、一つ伸びをして、歩き出す。
帰る道すがら、あたしたちはなぜか、小学生のときの夏休みの自由研究の話をした。
少年は河原で見つけた名前のわからない虫を飼育していたという。
研究課題にしたのに名前もわからないなんて、と馬鹿にしてやった。
あたしは四年生のとき、スーパーでいろんな種類の飴を購入して、夏の常温の中に放置して溶け具合を観察した。
梅果肉入りの飴はけっこう溶けてベタベタになったけど、チェ◯シーは溶けなかった。
ヴェ◯タースオリジナルはなんと柔らかくなった。