隣を見れば山木くん。
周りを見れば凄い形相の女子たち。
今、私は山木くんと下校してる訳なんですが、私にとっては地獄でしかない。
「山木くん。あなたに一つ質問があるんだけど」
「なに?」
「山木くんはどうして私の事が好きなの?」
聞きたかったけど聞けなかった言葉。
私は意外とすんなり言えた事にちょっと驚きつつも、山木くんに無言で返答を促す。
「なんで好きか?それはー、うーん、なんだろうね」
そう言ってクスッと笑う山木くん。
は?
なんだそれ。
理由もなく私の事好きとか言って追っかけてんのかよ。
「それ、好きじゃないんじゃ…」
私は心底嫌そうな顔で山木くんに言う。
「うーん、それはないな。てか、西宮さんって恋した事ある?」
は?
い、いきなりなに??
恋?そんなの、
「ある訳ないでしょ」
「だよねー」
だよねーって、失礼な。
「西宮さんも、恋したら、俺の言った事分かるよ」
そう言って微かに笑う山木くん。
いや、分かりたくないし。