そうやって花沢瑠美という女とまるで文通のようなやり取りを重ねていった。
不思議な感覚だった。
勿論、その女が好きな訳ではない。だけど同じ一人の男を好きになった。そういう意味では潜在的な共通点があったのかもしれない。
ところが、私の脳内は五通目の手紙で吹き上がり、女という生物を引き裂かれたような苛立ちで沸騰した。
『奥様へ。実は私、結婚するんです。でも、絹川部長が私と別れてくれません。今夜も体を重ねた後、別れたくないと泣かれました。そういうの迷惑なんです。奥様、もっと魅力的な女性になって絹川部長を奥様だけのものにしてください』
沸騰した脳内は泡が弾けた後、ヒリヒリと胸を凍結させた。私にも反省点があったから……。
ここ数年、お化粧もしてないし下着も新しいものを買っていない。
そう思いながら引き出しを見ると型崩れしたブラジャーと飾り気のないショーツが贅肉のようにたるみながら並んでいた。