手にした優輔のストライプのワイシャツ。普段、白いシャツしか着ない優輔をお洒落にさせようと私が買ってきたもの。


念のため、胸ポケットに手を入れてみる。


優輔は几帳面でポケットにゴミを入れるタイプではないけど、せっかく我が家にやってきた洗濯機に悪影響があっては困る。



「あれっ?」



なにかが入っている。


出してみると青いメモ用紙だった。


それにより悪影響を与えられたのは洗濯機ではなくこの私。


『奥様へ。はじめまして。花沢瑠美と申します。絹川部長は私と毎日浮気をしています』


薔薇のように棘のある繊細過ぎる文字でそう書かれていた。


絹川部長、つまり花沢瑠美は優輔の部下って事。


薔薇の棘は『毎日浮気』という事実を私の喉に突き刺してきた。


「京子、毎日ご苦労さま。ありがとう」


そう言った優輔の『毎日』という言葉が私の頭の中で何度もリピートされる。


まるで、壊れて伸びきった二度と歴史を語る事のないカセットテープ。