眩しさと時折吹く風に、目を開けた。



雲一つない空に太陽が光り、自分は芝生らしきところに寝ている。



手首の傷も消えていて、身体も今までにないくらいに軽い。



ここが…天国…?




そんなことを考えながらボーッと上を眺めていると、急に頭上に影ができ、男の子が上からのぞき込んできた。




「あ!起きた?」


「……!!!!うわぁぁっ!!」




び、びっくりした……



「あ、ごめん、驚かせちゃったかな…」


「う、うん…びっくり…しました」


「あははっ!!
別に俺、変な人じゃないから大丈夫だよ(笑)
俺は橘裕貴!よろしく!」



屈託のない笑顔と共に差し出された手を、ぎこちない手つきで握り返した。


歳は同じくらいだと思うけど、その笑顔は本当に純粋な少年だ。




「あっ…私は、篠宮晴香!
その…よろしく…です。
歳は17です。…橘くんは?」



「晴香か!
そんなに緊張しなくてもいいのに(笑)
俺は…えっと…多分18かな」



「多分…って、どういうこと?」



わざとぼかすような言い方が気になって聞いてみると、橘くんは一瞬表情を暗くした。



「ま、まぁ…おいおい話すよ!
それと、俺のことは裕貴でいいから!
橘くん、なんて堅苦しいじゃん」




話しづらい事なのかな…?



私が少し考えていると、橘く……裕貴は急に立ち上がって、行こう!と手を差し出してきた。



「行く、って…どこに?」


「それはついてからのお楽しみ!
ほら!手貸して!」




言われたとおり彼の手を握ると、視界が一気に真っ白になり、



私達の姿は草原から消えた。