私は篠宮晴香。
本来なら高校2年生の17歳だけど、今は学校に通っていない。
生まれつき思い心臓病を持っていて、現代の最先端技術を駆使しても治らない、相当珍しい病気らしい。
最近は、発作の数も薬の量も増え、もしかしたらもう長くはないのかもしれないという気はしていた。
「1か月…か」
窓の外は青い空が広がり、すっかり春の陽気。
そんな空でさえも、今は白黒に見える。
正直、自分が後1か月で消えてしまうなんて信じられない。
両親は病室の外で泣いているらしかった。
生きていても仕方がない。
不意にそんなことを思った。
発作も本当に苦しくて、後何度あんな経験をすればいいのかと考えると吐き気さえする。
もう既に病室から出て遠出できる体でもなかった。
気づけば自分の荷物の中からカミソリを取り出し、手首に当てていて…
元々血の量が少ない分、すぐに意識がぼんやりしてきた。
こうやって死ぬのなら、あの発作で死ぬよりも、よっぽど楽だ。
あまりハッキリとしない視界の中、私はベッドの横にあるメモに、
ありがとう。
バイバイ。
と書いた。
ふわふわする感じがしばらく続き、私はそっと目を閉じる。
まるで手術の麻酔の時みたいだな…
最後に考えたのは、そんなことだった気がする。
視界と頭の中が、真っ暗になった。