部屋を開けてすぐにベッドに飛び込む。
額に手の甲を当ててぼーっと天井を見つめる。
やがて天井がぐにゃりと歪んだ。
あぁ、歪んだ。
それが自分の涙のせいだと気づくのに時間はかからなった。
「もう、やだよ…」
私は歯を食いしばった。
声が部屋の外に漏れないようにする。
きっと心配症の母に聞こえたらすぐ飛び込んでくるだろう。
ふと、視界に入ったものを凝視する。
銀色に光る――それを。
私はそれを手に取った。
そして、震える手でそれを左手首に押しつけた。
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