アラームが鳴る前に花菜は目が覚めた。
花菜(あぁー・・・お腹痛い・・)
母「花菜ー早く起きなー。今日は入学式でしょー?」
花菜「・・はーい」
そう、今日から高野 花菜(たかの かな)は高校1年生。
高校生活の初日を迎えるのです。
初めての電車通学。初めての学校。初めての新クラス。初めての…1人。
花菜「はぁー。なんで友達が1人もいない高校受けちゃったんだろう…。友達できるかな…はぁぁ。」
ぐちぐち言いながらシワ1つない制服を着て髪を整えて身支度が終わった。
母「友達できるといいね!はいはい、明るく行きなさいよ?いってらっしゃい!」
花菜「いってきまーーす…」
ドアを開けたらまだ寝起きの花菜には眩しいくらい外はもう明るかった。
最寄り駅まで徒歩20分。
電車移動時間は20分。
駅から高校まで歩いて20分。
家から高校まで約1時間はかかる。
花菜は重い足を引っ張りながら天野高校へ歩き出した。
電車の中で座ってると、
駅に着くたびに同じ制服を着た人がたくさん乗ってきた。
花菜(あーみんなもう友達と登校してる…。はぁー憂鬱。あっもう次で降りなきゃ)
1人で降りた花菜はキョロキョロしながらまたとぼとぼと高校へ歩き出した。
高校の周りは自然豊かで高い建物は全くなく、田んぼや畑が広がっていた。
花菜(ん〜空気は気持ちがいいな!)
??「あの〜」
急に声をかけられて花菜はギョッとして後ろを向いたら可愛い女の子が立っていた。
紗季「天野高校ですよね…?よかったら一緒に行きませんか?私、中学から1人で少し心細くて…。あ、永野紗季(ながの さき)って言います!」
花菜「あっ!一緒に行きたいです!うちも中学から1人で…あ、高野花菜って言います!よろしくね!」
紗季「カナ!よろしくね〜!あ〜よかった友達ができて…!」
花菜「うちもだよー!一緒のクラスだったらいいね!」
何気ない話をしてたらあっという間に高校に着いた。
門の前では先生が新クラスのプリントを配っていて私たちもそれをもらった。
紗季「あっ私2組だ!カナは?」
花菜「んーっと5組!別々だ…会いに行くね!」
紗季「ショック〜私も!会いに行く!じゃあまた後でね!」
花菜はさっそく1人友達ができてルンルンで『1-5』と書かれた教室へ入った。
座席表を見て静かに席に座った。
驚いたことに教室全体が静まり返っていて、誰1人話してなかったのだ。
花菜(中学と大違いだ…気まずいなぁ)
ガラガラッと扉が開きお婆ちゃんのような人が入って来た。
先生「はい、おはようございまーす。このクラスの担任になった上野です。1年間よろしくねー。」
生徒「………」
先生「じゃ、早速だけど出席とりながら出席番号も言ってくから自分の番号を覚えてねー。青山ー1番ー。赤塚ー2番ー。…(省略)…高野ー25番ー。…(省略)…」
花菜(25番か、覚えておこっ)
先生「はい、じゃあ提出物集めるよー。今の出席番号を書いて後ろから前に回してー」
少し教室がザワザワしながらプリントが回収し始めた。全部回収し終わったとこで、
先生「はい、じゃあ自由にしてていいよ」
花菜(きた、友達作るときがきたー…お、女子が教卓の前に集まってる。とりあえずあそこに入ろっと)
⁇「えーっと、理乃ですっ」
⁇「綾です」
どうやら自己紹介大会…みたいだ。
花菜「(やべ、ノリに乗ってうちも言わなきゃ)...あっ…」
先生「25ばーーーーん。25番ちょっときてーーーーーーー。」
花菜の言葉は先生の言葉で遮られた。教室は一気に静かになって頭の中では『25番』の数字がチカチカしていた。
花菜(25...25...ん⁉︎わたし⁉︎)
花菜は意味が分からずにみんなの注目を浴びながら先生のとこへ行った…のはいいけど、花菜の他にもう1人いた。
??「…先生なんすか?」
花菜「………」
教室はまた自然とザワザワし始めて花菜への注目はなくなっていった。
先生「はぁ。えーっと、高野に高橋か。高橋、きみだよきみー」
??「はい?」
先生「さっきの提出物に25番が2人いてね〜。高野花菜は25番で正しい。が、高橋葵。きみは27番ね?間違えないようにー。そんだけー。」
葵「あー、すみません」
花菜「え。私にはなんもないですか?」
先生「うん、ごめんねー。」
先生のごめんねと同時にチャイムがなった。
先生「はい、今日はもう終わりー。明日は自己紹介もあるから何か考えてきてー。」
花菜(えぇっクラスで誰にも話しかけないで学校終わっちゃった…。くそっ高橋葵ってやつのせいで…!変に注目も浴びたし!あああ最悪!)
花菜の学校生活初日は小さなトラブルだけで終わってしまった。
このトラブルがきっかけになるのもまだだれも知らない…。