玄関を出た瞬間、柑橘系の香りが鼻をかすめた。
爽やかで本来なら大好きな匂いだけど、私は無意識に眉を寄せた。
……左横に気配を感じる。
神崎愛児だ。
チラッとだけ愛児を横目で見ると、彼は僅かにこちらを見て動きを止めた。
それからもう一度、今度は身体の向きを変え、マジマジと私を凝視した。
「マジかよ」
「……」
私は無言で愛児の脇をすり抜けるとエレベーターへと進んだ。
今までに無いスピードでエレベーターの『閉』を連打する。
乗ってくるな、乗ってくるなよ神崎愛児!!
爽やかで本来なら大好きな匂いだけど、私は無意識に眉を寄せた。
……左横に気配を感じる。
神崎愛児だ。
チラッとだけ愛児を横目で見ると、彼は僅かにこちらを見て動きを止めた。
それからもう一度、今度は身体の向きを変え、マジマジと私を凝視した。
「マジかよ」
「……」
私は無言で愛児の脇をすり抜けるとエレベーターへと進んだ。
今までに無いスピードでエレベーターの『閉』を連打する。
乗ってくるな、乗ってくるなよ神崎愛児!!