「ありがとうな、すきになってくれて」
抱きしめられているから、透亜くんの表情は見えない、
だけどたしかに透亜くんは優しい声で、そういった。
前のわたしだったら、こんなこと全然想像していなくて透亜くんに無視されても免疫がついたから平気、なんて考えていた
だけど、そんな大好きな彼がいまわたしを優しく抱きしめていて……
それって、すごく大きな奇跡で
嬉しくて、しあわせで涙がまた溢れた。
「…送るよ」
そう、小さく呟いた透亜くんは冷え切ったわたしの左手を握って歩き出したんだ
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