１０時の１５分前に真尋は来た。



「ごめんねっ待たせちゃった？」


「いや、別に、まだ時間前だし」



ここで何か違和感があった人もいたかもしれないが気にしなくてもよい。



「樹さん、随分来るの早いね」


「あたしも今来たところだよ」



さすがに９時には待ち合わせ場所についていたなんて言えない。

別に楽しみというか緊張で寝ていられなかったわけではない。

決して、そういうわけではない。



「それじゃあ行こっか」



前を行く真尋の後をついていく…

不意に真尋が立ち止まって振り向く。



「樹さん！」



真尋は少し頬を赤く染めながらスッと手を出す。
一瞬なんのことか分からなかったけどすぐに理解して真尋の手に自分の手を重ねた。

真尋はにっこりと笑って引っ張っていく。
真尋の後ろ姿を見て、あたしは少し表情を緩めた。



やっぱり真尋は可愛いな