「そっかあ、入部することにしたんだね」



帰り道、真尋にこのことを話すと真尋は嬉しそうだった。

仮入部が終わったのは6時頃で、校門に向かうとすでに真尋は待っていた。


あたしのペースに合わせて隣を歩く。



「まあ、怪我が完治してからだけどね」



このまま何事もなければ恐らく1か月後には練習が始まる。


でもやっぱりなんだか申し訳ないなあ…

チラッと真尋の方を見る。
真尋っていつもにこにこしてるなあ。



「ん?なあに?」



いつの間にか視線に気づいていたらしい。



「いや、別に…」


「帰りのこととかなら僕は大丈夫だよ?
樹さんの事、応援してるからね!」



だから心配しないで!とさらに念を押されてしまう。

気付いたのだがあたしは真尋の笑顔にめっぽう弱いらしい。



「ありがと…」



恥ずかしくなって思わず俯く。

しばらく無言で歩くことに集中していた。
真尋が何かを探しているのも気にせず…



「樹さん」


「なに…?!」



顔を上げると突然パクッと何かを口の中に入れられる。
それは噛むとほろりと口の中で砕けた。