「一之瀬さん!早速来てくれたのね!」



放課後、あたしは陸上部の練習する第二グラウンドにきていた。
この高校のもう一つのグラウンド
通称裏グラ。


倉持梨華がキラキラしながら迎える。

昼間の制服姿とは変わり、比較的薄い素材でできたハーフパンツにスポーツTシャツを着ていた。


倉持梨華について歩く間、陸上部についての簡単な説明を受ける。



「我が陸上部は2年生8人、1年生1人で活動しているわ」


「3年生は?」


「もう引退していない
大会は4月末なのよ」



なるほど、それで2年の彼女が部長をしているわけか。



「男女比は?」


「男子が6人と女子が3人。
ちなみに1年の子は男子」


「じゃあ女子はリレー出られないんですね」


「ええ、でもあなたが入ってくれたら足りるわ」



いきなり重いことを言ってくる人だ。

しかし中学と比べると随分部員が少ない。



「実績は?」


「最高は個人で県大会ベスト4ってところかな。
コーチが変わってから上がってきたのよ
ちなみに活動日は木曜日以外の平日」



割と実績はある方のようだった。
辺りを見回すと、部員たちはウォーミングアップをしているようだった。


グラウンドの真ん中あたりで練習を見ている人がいた。
あれがコーチだろうか?