「完治は…?」


「恐らく一か月です」



しばらく考え込んだ後、こう言った。



「治ったらまた走れるようになる?」


「…まあ、断裂しているわけではないので」


「なら、一度見学だけ来ない?
それでもし入る気になってくれたなら完治してから部活に来てほしいの」



お願い!と倉持梨華は頭を下げる。
先輩に頭を下げられるのはとてつもなく申し訳なかった。



「分かりました、分かりましたから頭を上げてください」


「本当?来てくれるの?」



顔を上げて目を輝かせていた。



「とりあえず見学は行きます」


「ありがとう!じゃあ待ってるわね!」



そう言い残して倉持梨華は教室を出て行った。

正直迷っていた。



「樹、まだ引きずってるの?」



隣でずっと聞いていたらしい亜理紗が頬杖をつきながら言う。



「自分でもくだらないと思うよ」


「なら、いいんじゃない?」



確かにくだらない理由だが、当時のあたしにとってはなかなか傷つくことだった。
それと新しくできた理由と言うのが…