「ええ。びっくりしたわ
まさかそんな子がうちの学校にいるなんてね。
中学では?」


「陸上部でしたけど…」



その答えを聞くや否や机をバンッと叩いて



「じゃあ決まりね!
早速先生のもとへ入部届をもらいに…」



と言ってあたしの手を引く。

…ていやいやいや



「ちょっと待ってください!
まだ入部するなんて一言も…」


「だって勿体ないじゃない
そんなに速いのに無駄にするなんて。
そもそもどうして入学してから仮入部に来なかったの?」


「入る気ありませんでしたし…」


「どうして?」



どうしてと言われても…
困ってしまう。


理由が我ながらくだらない理由だし…

それに今は他にも理由がある。



「いろいろあったんです。
それに今走れないんで」



そう言って足を指さす。
倉持梨華は目を丸くした。



「それ、どうしたの…?」


「靭帯痛めたんです。
昨日の体育祭で」



軽く怪我の状態を説明する。
倉持梨華は困ったような顔をした。