達也は続ける。 「人がようけい死んでいって、町も野原も焼きつくされて、人間は何を求めとるんかな。」 そう言うと達也は立てていた片膝を両手で覆い、顔をうずめた。 優子が達也の顔をのぞきこむ。 「父さんが、帰ってきたんよ。」 震える声で言葉を吐く達也。 「よかったなぁ!」 優子はその言葉の意味が分からず、明るく言った。 達也がゆっくりと顔をあげる。 真っ赤に染まった瞳を見て、優子は言葉を失った。