そして不機嫌オーラ満載のミハルに苦笑いを向けているのは、月見里 茅景《やまなし ちかげ》。


いつもいつも初対面の人に名字を一発で読んで貰えない、哀れな女子高生です。


山が無くて月がキレイに見えるから、“月見里”と書いて“やまなし”なんだよ!!皆覚えておいてね!!


「キャーーー!こっち向いてくれたぁーーー」


「バカね、私を見てくれたのよ!勘違いしないでっ」


私とミハルが話している間も、廊下の騒がしさは治まる気配を見せない。


あの騒ぎの原因は、廊下側の窓から見える数え切れない数の女子生徒軍団なのである。