No.1ガール〜桜の姫〜①



理「ねえ、今さらだけどさ、皆って陸玖と知り合いだったの?」




私は今まで気になっていた事を聞いた。




お互い名前で呼び合ってるって事は結構仲良いのかな?




陸「お前、本当に今更だな。」


理「だから初めに言ったじゃん。今更なんだけどって…。」



翼「陸玖は珀龍神専属の情報屋だ。」




珀龍神専属の情報屋?




理「陸玖そんな事してたの?」




陸「…まぁな。」




疾「陸玖は優聖でも手が届かない所の情報を掴めるからね。俺たちとしてはかなり助かってるよ。」




へぇー、そうだったんだ。



あ、だから前に翼たちが私を探してるって事も知ってたんだね。




うん、謎が解けたよ。


キーンコーンカーン



少し皆で話しているとチャイムが鳴った。



ん?そう言えば今って何時なんだろ?




理「…え、3時!?」




スマホで時間を確認すると、まさかの学校が終わる時間だった。




陽「理央りん何をそんなに驚いてんだ?」



理「だって3時だよ!?授業終わっちゃったじゃん…。」





ガクッとソファーに項垂れる。



6時間目はちゃんと受けるつもりだったのにー。





翼「授業受けたかったのか?」



理「別にそう言うわけじゃないけど。今まで真面目な地味子を演じてきたからイメージを崩したくないの。」



はぁー、今までの苦労が…。



永「それなら心配ねえぞ。体調不良で早退したって事にしといたからよ。ちゃんとかばんも持ってきてあるしな。」



そう言って渡されたのは私のかばん。




理「本当に!?よかったー。」



若干、理事長の立場を乱用してる気もするけどそこは気にしないことにしよう。




疾「翼、そろそろ倉庫行くか?」



翼「そうだな。陸玖はどうする?たまには顔出さねえか?」



陸「俺はいい。この後用事あるしな。」



そう言った陸玖は、ソファーに座って煙草を吸い始めた。



多分この後も組の仕事なんだろうな。



若頭も大変だね。




翼「そうか。…お前ら行くぞ。永遠さん、お邪魔しました。



永「おう、また来いよー。」



陸「……翼、理央の事頼んだぞ。」



翼「…あぁ。」



二人がこんな会話をしていたことは、先に理事長室を出ていた私は気づかなかった。





梅雨もすっかり明け、季節は夏になった。



外では蝉が忙しなく鳴いている。




…外、暑そうだな。



この炎天下の太陽の下に晒される事を考えただけで、どうにかなってしまいそうだ。




菜「理央、プール楽しみだね!!」



理「…うん、そうだね。」



隣では楽しみで仕方ないのか、さっきからソワソワしている菜々夏。




2週間くらい前に学校は夏休みに入った。



そして、「夏休みと言えば旅行だろ!」と言う陽希の提案により、今日から皆で一泊二日のプチ旅行に行くことになったのだ。



今は車で移動中。



予定では、このままプールに行って一日遊んだ後今日の宿である旅館に行くらしい。




菜「ねえ、後どのくらいで着く?」


疾「30分もすれば着くんじゃない?」



てことは、30分後にはあのカンカン照りの太陽の下に行かなくちゃいけないんだね…。



理「はぁー…。」


翼「どうした?」



小さく溜め息を溢したはずが、隣にいた翼にはしっかり聞こえていたらしい。



理「いやー、プールはすごく楽しみなんだけどさ、外暑いだろうなーって思って。私、暑いの苦手なんだよね。」



毎年、夏は冷房の効いた部屋でシロクマ状態の私。


…溶けそう。



菜「理央何言ってんの!?暑いからこそプール行くんだよ!!」


陽「そうだぞ理央りん!プールがあるから夏があるんだぞ!!」




うわお、珍しく二人の意見があってる。


明日槍でも降ってくるんじゃない?


呑気にそんなありえない事を考える私。


様子を見てどこかに避難でもしようかなー。



菜「絶対一緒に泳ぐんだからね!!逃げたらただじゃおかないんだから。」



ゔ、見透かされてる…。


理「……はい、しっかり肝に命じておきます。」


菜々夏、怒ったら怖いからね。



逆らうのはやめよう…。



そうこうしているうちにあっという間に30分経ち、目的地であるプールに着いた。



うわー、デカイ。


さすがテレビで紹介されただけのことはある。



私たちが今日来たこのプールは、全国でもかなり有名な場所。


様々な施設があり、南国のリゾートをイメージした外観で、若者から高齢者まで幅広い年代から人気らしい。



菜「じゃあ私たちは着替えてくるね。場所取りよろしくー。」


疾「二人とも気を付けてね。」



場所取りは、すでに水着を着ている男軍団に任せて、私と菜々夏の二人は更衣室に向かった。


理「に、似合わない…。」


着替え終わった私は鏡の前で絶句。


胸元には白の大きなフリル、下はパステルカラーの花柄。


もちろんビキニ。


この前、菜々夏と買い物に行ったときに、半強制的に買わされたこの水着。



確かにデザインは可愛いけど、それが私に似合うかは別問題。



こんな事ならちゃんとダイエットしとくんだった…。



軽く後悔していると、隣で着替えていた菜々夏が顔を出した。



菜「きゃー!理央似合い過ぎーー!!」



そう興奮気味に言う菜々夏。



いや、それはこっちのセリフなんですけど。



薄いピンクの小さな花がたくさん着いたスカートタイプのビキニを着て、緩く巻いた髪はツインテールにしている菜々夏。


……可愛すぎる。


周りの男たちの視線を釘づけにすること間違いなしだね。



こりゃ疾風も大変だ。

菜「よし、じゃあ皆の所へ行くよ!」


理「え、やっぱりこの格好のまま行くの?」



せめて上を羽織って行きたいんだけど…。



菜「当たり前でしょ?ほら、つべこべ言わずにさっさと行く!」



私は菜々夏にグイグイ腕を引っ張られながら更衣室を出た。



更衣室を出ると、太陽のヒシヒシとした日差しと共に、周りからの視線も突き刺さる。



何かすごい見られてる気が…。



そんなに変だったかな?