「俺やっぱ那月の事……」


ユウトが何かを耳元で言いかけた瞬間


「那月!」


走ったのか息を乱している洸が教室に乗り込んできた。


「あっ、洸」


……どしよ。この状況。


「てっめぇ……離しやがれ。」


「やだって言ったら?」


「無理矢理離す。」


「痛いのはごめんだなー。」


「知るか。離せ」


「はいはい。降参」


素直に私を離してくれたユウト。


「…………」


「ちょっ……洸!?」


無言で私の腕を掴んで何処かに引っ張る洸。


その表情から何も読み取る事が出来ない。