雨で舞い上がった土の匂い。
左半身の痛み。
頭に乗せられたタオル。
…御波くん。
思いだしたが頭がそれ以上回らなかった。
なんで。
なんで。
「ここ、って」
「他に場所なかったんだよ。だってお前急に倒れるから…」
むしろ彼の方がうろたえていた。
それを見ていくらか頭が冷えていく。
「ここ、俺の部屋。だからって何もしてないかんな。寝かせて布団被せただけ!」
別に何かを勘ぐったわけではなかったのだが、必死で弁解する彼に思わず頷く。
彼ははぁ…と溜め息をつくと私の前から離れた。
「寝てな。お前熱あるよ」
そう言って部屋を出て行く。
ドアが閉まると、部屋がしんとした。