駅に走り込んだ時、汽車のドアはもう閉まろうという所だった。


間一髪でドアの隙間に身体を滑り込ませると、そのまま床に崩れ落ちてしまう。



汽車が走り出す。

闇が後ろへ流れて行く。



荒れた呼吸を整え整え顔を上げると、ずぶ濡れで駆け込んできた彼女に乗客の白い目が刺さった。


慌てて立ちあがり、隅へと縮こまる。