玄関のドアが閉まると同時にベッドから身を起こす。
と、ずっと寝ていたからか、寺の鐘を突いたかのような頭痛が頭を襲った。
だけどぐずぐずしている暇はなかった。
「…行かなきゃ」
呟くとまず自分の荷物を探した。
それほど手こずることもなく、それはベッドの脇に見つかる。
御波くんを疑った訳ではないけど、一応金品を確認するが何も変わりはなくほっと胸を撫で下ろした。
土の匂いが染みついた服を脱ぎ捨て、持ってきた新しい服に着替える。
…御波くんには感謝してる。
あのとき隣にいたのが彼じゃなかったら、私はどうなっていたんだろう。
死んでたかもしれない。
別にそれでもよかったけど、そうならなかった。
だから私は彼に感謝すべきなのだ。