二度目に目が覚めたのは、御波くんに起こされたからだった。
「迷ったんだけど、俺学校行かなくちゃだから」
そう言った御波くんは制服に身を包んでいる。
今は夏休みだが、難関大学受験生用の夏期補習が行われていると聞いた。
彼はその一人なのだろうか。
私は眠る前に見た赤本を思いだした。
「薬とポカリここに置いておくから。トイレはこの廊下の奥。お腹すいたら台所に置いてあるもの何でも食べて。気分悪くなったらここに電話して」
私に11個の数字が連なった紙切れを渡すと、
「昼過ぎには帰ってくる」
と言い残して慌ただしく玄関を出て行った。