好きだ。
好きだ。
その想いだけが、僕の中に渦巻く。
「っ…ん……!」
苦しそうに呻く朱架の声で、我に返った。
慌てて唇を離すと、朱架は少し怒ったような顔で僕を睨んだ。
「……葵くん、ずるい」
「え?」
「こんなにドキドキさせて……ずるい」
そんな可愛い顔で睨まれても、全く怖くない。
むしろ愛おしい。
「ははっ……」
朱架が可愛くて可愛くて、思わず笑ってしまう。
すると、朱架がぽかんと口を開けたまま、放心状態になった。
「葵くんが…笑った……」
「……僕だって、笑うよ」
「そ、うだね……」
何なんだ、その歯切れの悪い返答。
笑ったらかなり驚かれてしまった。
まぁ、確かに、中学のころからは周りに興味がなくなって笑いも泣きもしなくなったけど。
そんなに驚かれたら……正直ショックだ。
「ふふ、葵くん……笑った方が可愛い」
朱架が笑って言う。
可愛い?
男なのに?
朱架のほうが……可愛いのに?
意味が分からず首を傾げていると。