ど、どうしよう。
父さんと母さんのときと全然違う。
母さんは、こうされたら必ず嬉しそうな顔をするのに。
朱架は嫌だったのかな。
……そうか、嫌だったのか。
謝らないと。
しゃがみこんだ朱架の前に屈んで、戸惑いながらも声を掛ける。
「朱架……ごめん………嫌だったよね」
「…………」
朱架は無言で首を振る。
そして、顔を覆っていた手を外した。
「びっくりしただけ……ヤじゃない…………」
「…………え?」
びっくりして、固まる。
嫌じゃ、ない……?
「葵くん…ごめん……」
「何が……?」
何のことか分からなくて、聞き返すと。
「…………もっかい」
消え入るような声で、朱架が言った。
・・・もっかい?
「それって……」
「あああっ!やっぱりいい、ごめんっ!!」
言葉の意味を理解した直後、朱架が耳まで真っ赤にしてまた手で顔を覆う。
・・・え。
何だろう、この気持ちは。
朱架が、どうしようもなく…………可愛い。
「……なんだよ、これ…………」
胸を掴まれたような気持ちになり、くしゃりと青い髪を握った。