目を瞬かせていると、 朱架が強く抱きついてきた。
「…嬉しいの……嬉しくて、涙が出るの……」
「う、嬉しい……?」
「うん…あたしも多分、葵くんのこと好き」
「・・・え」
好き?
朱架が?
僕を?
好き?
実感がわかない。
というか、こういう時にどんな反応すればいいのかすら分からない。
父さんと母さんなら……どうするだろうか。
朱架を抱きしめながら、2人の様子を思い出す。
うーん……。
…………あ、そうだ。
確か、2人はよくこうしていたはずだ。
「朱架」
名前を呼ぶと、朱架が顔をあげる。
そのタイミングに合わせて……
朱架の唇に、自分の唇を重ねた。