「てめぇ……今更本気になりやがって………」



立ち上がりながら僕を睨みつけてくる川瀬翠斗。


周りにいるヤンキーたちも呆然としている。



「葵く……」


「朱架、こっち」



朱架の手を引いて僕の後ろに隠し、庇うように立つ。



「殺す……殺す…………殺してやる!!!」



目を血走らせた川瀬翠斗が拳を握り締め怒りに震えている。


このままだと、朱架が危険だ。


背後にいる朱架に、そっと話しかけた



「朱架ごめん……逃げて」


「でも、葵くん…」


「早く」



低く言うと、朱架は戸惑いながらも倉庫から飛び出していった。



「お、女が逃げたぞ!!」

「連れてきますか!?」


「……お前ら、黙ってろ」



ヤンキーたちのざわめきを制したのは、琉矢。



「あの女は……逃がしておけばいい」



不敵に笑った琉矢に、少し疑問を覚えた。